2016年11月、柑橘類「じゃばら」からフラボノイドの一種で「ナリルチン」を高濃度で抽出することに成功し、粉末状態で30%含有の機能性原料を開発し発売を開始いたしました。(高濃度で水溶性の粉末としては世界初です)
その「ナリルチン」を30%含有した褐色の粉末が「シトラスナリルチン®30」です。この原料を使用して各種食品に加工されるわけです。
(▶ 応用例)
従来のナリルチン成分は、果汁か果皮の含有成分(*1)で摂取するしか方法はありませんでしたが、水溶性の「シトラスナリルチン®30」を使用することにより飲料への添加も容易となりました。沈殿物もなく少量の配合で正確な商品設計が可能(全く沈殿物はありません)になります。
*1 じゃばらに含まれるナリルチンの量
果汁の含有量:0.03~0.07%(産地、収穫時期、果汁の搾汁方法により変わる)
果皮の含有量:1.8%前後
図中のアレルゲンとは、この場合は植物の花粉やハウスダスト(ダニなどの市外や糞便)を意味します。それら異物を抗原と表現しますが、人間の身体は、それら抗原に対し身を守るために抗体を体内で作り防御しようとします。(風邪やインフルエンザの際の細菌・ウイルス(抗原)に対し、身を守るために免疫を高め抗原に対し防御する現象と似ています)
花粉症の抗原が体内に入ると、図のようにヘルパーT細胞(リンパ球)のTh2細胞が強く反応し、IL-4(特別な信号を活性化する小さなタンパク分子)を産生・放出します。(体液性免疫) 身を守るためにIgE抗体が産出され、それが原因でヒスタミンがマスト細胞(肥満細胞)から放出されます。そのヒスタミンが、知覚神経・腺・血管に作用し、くしゃみ・鼻水・鼻づまりの症状が出るのです。
抗原(花粉・ハウスダスト)が体内に侵入すると、体液性免疫の反応が起こります。先ほど説明したように、ヘルパーT細胞のTh2細胞が強く反応しIL-4が増える反応が起こります。この状態が図の右側にある状態になりバランスが崩れた状態になります。(花粉症などのアレルギー疾患)
◀ このデータは、ナリルチンを食べたマウスのIl-4の産生量を測定した結果です。
先に説明した、Th1とTh2のバランスの崩れを正常な方向に戻すような反応であることがわかります。
*実験マウスの説明:
無処理:無感作マウス(鼻炎になっていない)にナリルチンを食べさせていない群
対 照:OVA感作マウス(鼻炎マウス)にナリルチンを食べさせてない群
ナリルチン:OVA感作マウスにナリルチンを混ぜた餌を食べさせた群
◀ このデータは、ナリルチンを食べたマウスのIFN-γの産生量を測定した結果です。
先のグラフ同様にバランスの崩れたものを正常に戻す方向に免疫が反応していることがわかります。
◀ ナリルチンを食べたマウスのIgE抗体の産生量を測定しました。
アレルギー症状の原因となる抗体を押さえ、ヒスタミン放出量を減少させる作用があることがわかりました。
▣ マウスのくしゃみ+鼻掻きのグラフ
◀ OVA感作マウス(鼻炎マウス)にナリルチンを食べさせたマウス(ナリルチン群)と食べさせなかったマウス(対照群)を4週目まで飼育し、くしゃみと鼻掻き回数をビデオ解析しました。棒グラフの数値は、ナリルチン摂取群÷対照群の値です。この値が低くなるほど、両方の群の間に回数の差が出ることがわかります。(ナリルチンを食べた群が日を追って少ないため、症状が軽減していると推察されます。)
▣ マウスのくしゃみ+鼻掻き回数
◀ シトラスナリルチンの抗アレルギー作用の検証実験にて、マウスがくしゃみをした回数や鼻をかいた回数を集計した動画の一部です。
※くしゃみのシーン:上段右から2番目のマウス8~13秒の間で3回カウントなど
※鼻かきのシーン:下段右から2番目のマウス20秒頃、上段右から2番目のマウス27秒頃など